ハワイの山火事が浮き彫りにする火災保険の危機と、その危機の背後にある保険金不正請求の問題について、ごとう研究員がレポートします。
2023年8月初旬、ハワイ・マウイ島で悲惨な山火事が発生した。
この山火事は、100名を超える犠牲者をだし歴史あるハワイの古都を焼き尽くしただけでなく、現代の私たちが抱える深刻な問題の一端を示している。
度重なる予測不可能な自然災害で、保険という仕組みの維持が困難になっているのである。
今日はその保険の危機と、私たちができることについてお話ししたい。
今回のような山火事による建物や家財への被害は、出火原因が地震や噴火でない場合、火災保険でまかなわれることになる。そして今回その金額は4000億円を超えると予想されている。
実は、ハワイでこのような大規模な山火事が発生することは想定されていなかった。近年、アメリカでは気候変動により、想定外の大規模な山火事が多発しており、保険会社にとって大きな負担となっているのである。
事実、カリフォルニア州ではつい最近大手の保険会社2社が火災保険から撤退したばかりであり、火災保険という仕組みの維持が困難なレベルにきていることを示している。つまりこのような自然災害から私たちの住む場所を守ってくれる仕組みが危機に瀕しているのである。
そして、これは決して対岸の火事ではない。
まず、各国の保険会社はリスクを分散するために保険会社の保険である再保険というものに加入している。例えばアメリカで大規模な災害が発生すると、この再保険料があがり、日本の保険会社の負担が増えるのである。
さらに、災害が甚大化している状況は日本も同じであり、台風などの自然災害による被害額が増えている。
これらを補うために保険料は頻繁に値上げが行われているが、それでも多くの保険会社が火災保険については赤字に苦しんでいる。
日本でも将来「撤退」が起こらないとも言い切れない。撤退までいかなくても、保険料の値上がりで加入できなくなる人がでてきてインフラとしての機能が損なわれていくことは避けられそうにない。
ここで、この流れを食い止めるために私たちが知っておくべきことをひとつ紹介しておきたい。「火災保険を使った住宅修理にかかわる詐欺が増えていること」である。悪徳業者が保険金請求を手伝うふりをして、知らない間に不正請求をさせられる案件が急増している。
これは保険金を支払う保険会社の負担を直接的に増やすだけでなく、調査する体制を強化するためのコストとして間接的にも影響を与えている。「火災保険を使えば100万円は請求できます」などと甘い言葉で近づいてくる人には気をつけたい。
そしてもちろん、根本原因である地球温暖化を食い止めるために、普段から環境にやさしい生活心がけることが一番大切なことである。
今回はマウイ島の山火事を通じて、火災保険の危機と日本で発生している火災保険の不正請求問題についてお伝えした。保険はいざ加入できないと言われるとその重要さに気づかされる。手遅れになる前に、皆が安心して暮らせる社会を維持するためにできることを考え行動に移していきたい。
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